スフィンクスという他の猫とは一風変わった猫をご存じですか?
猫に限らず、犬、うさぎやハムスター等の生き物というのは豊かな被毛によって覆われ、色や長さ、直毛か縮毛か等によって生き物が持つ性質を形成しているのですが、今回、紹介するスフィンクスという猫は被毛がありません。
独特な風貌で、他の猫にはないスフィンクス。
今回はそんな彼らが持つ猫種としての特徴や歴史などについて見ていきましょう。
スフィンクスってどんな猫?
数ある猫の品種の中でも一度見たら忘れられないインパクトのある容姿のスフィンクス。
その見た目から「ヘアレスキャット」とも呼ばれています。
またスフィンクスと聞くとエジプトを連想する方もいるかと思いますが、誕生までの経緯は全くの無関係で、古代エジプトの猫の像に似ているというのが名前の由来となってます。
「ヘアレスキャット」という別名も浸透していますが、それ以外にも裸の猫という意味の「バースデイ・スーツキャット」、シワシワの猫という意味の「リンクルド・キャット」など、様々な呼び名で愛されています。
ただ、実際のところは桃の皮の表面の様な細かな短い産毛で覆われてはいるのですが、保温や皮膚を守る役割は殆どなく、体温調節が大の苦手。
寒さ、暑さともに弱く飼育は難しい猫種にあたります。
一年中温度管理が必要な上に夏の紫外線にも注意が必要で、日焼けはデリケートな剥き出しの皮膚にはかなりの負担となります。
動物にとって被毛がないというのは、私たち人間が思っている以上に大きな問題に繋がることがあります。
スフィンクスの歴史
スフィンクスはカナダ原産の自然に発生した突然変異種になります。
スフィンクスの歴史は1966年カナダのオンタリオ州、白黒の飼い猫から生まれた無毛の「プルーン」という猫が始まりとされています。
個性的な容姿はブリーダーから多くの注目を集め、各地で本格的にブリードが行われます。
プルーンの子孫は亡くなり、今のスフィンクスの直接の先祖ではないそうですが、その後も各地で見つかった無毛の猫とデボン・レックス(毛が少なく縮毛を持つ猫種)が交配されました。
血が濃くなることや遺伝疾患を防ぐために、アメリカではアメリカン・ショートヘアー、イギリスではロシアンブルーなどとの試行錯誤の交配の末、現在のスフィンクスが誕生したと言われています。
その後も順調にファンを増やし、2002年にはCFAでチャンピオンシップ・ステータスにも認定されました。
スフィンクスは飼いにくい?
スフィンクスは被毛が無いという特徴ゆえの飼いにくい猫と言えます。
被毛の無いスフィンクスは、本来猫の被毛が果たす保温機能(温度管理)、保護(傷の予防や皮膚トラブル)のケアを生涯を通して飼い主が日々の生活の中でサポートし続ける必要があります。
スフィンクスが快適に過ごすには室内の温度管理は勿論の事、デリケートな皮膚には特別なケアも必要です。
「毛がないからブラッシングが必要はなく、お手入れに手がかかならないのでは?」と思われがちですが、毛のないスフィンクスの場合、被毛を潤す役割の皮脂によって身体の表面がバターのようにベタベタになります。
特にシワとシワの間の溝は、汚れや皮脂がが溜まりやすく清潔な皮膚環境を保つためには定期的にシャンプーをしたり、暖かいタオルで優しく拭いてあげるなど、飼い主による皮膚ケアが重要になります。
自身の爪で身体を傷つけてしまわないように爪切りも週に2回ほど行うのが理想的です。
こういったケアは初心者には特に難しいと感じられるかもしれません。
また、性質的には社交的な性格の持ち主ですが、残念ながら多頭飼いには向きません。
他の猫がじゃれあいのつもりで出した爪も、身を守る被毛がないスフィンクスにとっては怪我のリスクが高くなります。
さらに「スフィンクスは毛がないから猫アレルギーは問題ない」という情報もありますが、猫アレルギーの主な原因は猫の唾液と言われており、決してアレルギー反応が出ないとも言い切れません。
性格
スフィンクスの性格は好奇心が強く、社交的で甘えん坊です。
賢さも持ち合わせたその性格は「猿と犬を合わせたような猫」と例えられることもあり、見た目の影響もあって時に「人間のような猫」と言われることもあります。
非常に愛情深く、飼い主にも強い信頼を寄せるので、抱きしめられたり構ってもらうことが大好きです。
飼い主の姿を見れば柔らかくモチモチとした独特の質感の肌を擦り合わせてきてくれます。
性格上の特徴の中でも特に社交性と好奇心は際立ち、来客に対しても自ら挨拶をして回るようなこともあります。
他の動物にも興味を示し、仲良くなろうと積極的に近づいていきますが、前述でも述べた通り、毛がないというハンディキャップがある為、多頭飼いには注意が必要です。
身体の大きさ
オスとメスでの体格差は少なく、24〜26cmの中型でセミフォーリンタイプに属します。
細身ながらもしなやかな筋肉を持ち合わせています。
体重はオスが若干重く3~6kg、メスでも2.5~4kg程で、身体を守るための皮下脂肪が多めで下腹は少しふっくらとしていて愛嬌があります。
身体のサイズの割には大きな耳がついており、少し離れたように見えるレモン型の大きな目に、ひょろりとした尾のアンバランスさも魅力のひとつです。
子猫の価格
ペットショップでお迎えする場合平均的には20~30万円程です。
子猫の価格は、月齢、カラー、血統によっても違い、特に珍しいカラーやシワが多く良い血統であれば40万円以上、場合によっては150万円という価格が付くこともあります。
スフィンクスはペットショップにいる事はまだまだ少ない傾向にあるので、スフィンクスの子猫を探すなら専門のブリーダーからのお迎えも検討する事をお勧めします。
または大人の猫を探す場合は里親サイトでお迎えする事も可能です。
まとめ
スフィンクスの特徴をまとめると以下になります。
スフィンクスの特徴
被毛がほとんどない
社交的かつ友好的
他の猫とも仲良くできる
多頭飼育には向かない
その独特な風貌から、知名度は高いものの、日本国内においては極端に飼育頭数が少ない猫でもあります。
それ故に飼育に関する情報は決して多くなく、市場でもなかなか出回っていません。
日本で購入するとなると専門のブリーダーからというのが基本ですが、稀にペットショップでお目にかかることもあります。
もし機会があれば、その風貌をご覧になってみてください。
スフィンクスでしか見られないその風貌に目を奪われるはずです。