グラデーションがかかった被毛やきれいな顔つきのアビシニアンは猫の中でも古い歴史を持ち、長らく人々と生活を共にしてきました。
日本では知名度はそこまで高くありませんが、欧米諸国では人気のある猫でもあります。
今回はそんなアビシニアンの特徴や歴史、性格や被毛の特徴について見ていきたいと思います。
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アビシニアンってどんな猫?
アビシニアンは動きに合わせてキラキラと輝く特徴的な被毛と、しなやかな肉体美を持ち、「猫界のクレオパトラ」とも呼ばれる美しい猫の代表種です。
大きさは2.7〜4.5kg程の中型で被毛は短毛種になります。
顔立ちは良く動く大きな耳に、綺麗な逆三角形をしており、額には縞模様の遺伝子を持つ猫の特徴であるM字模様があります。
あだ名の通り、アーモンド型の目元には目尻に向かってくっきりとアイラインを引いたような「クレオパトラライン」が目立ち、目の色はゴールド、またはアンバー(琥珀色)グリーンが多く見られます。
身体はスレンダーで筋肉質なフォーリンタイプ、非常に活発であらゆる猫種の中でもトップクラスに運動量が多い猫でもあります。
その柔軟さと筋肉質な特徴を活かして高い所へ登る事も得意で、テーブルの上や家具へ飛び移ったり、甘えようと飼い主さんの肩にも登ってくる様な事もしばしば。
動く物に対して驚くほど俊敏に反応し、狭い隙間にも飛び込んでいく程パワフルに遊びます。
また、甘えん坊でおしゃべり好きな猫とも言われており、他の猫種に比べてよく鳴きますが、パワフルさとは逆に鳴き声は鈴を転がした様な可愛らしい特徴的な声をしています。
目を奪う様な美しさから、かなり古くから愛される猫ではありますが、飼育の難易度は高めで、性格や運動量に合わせた飼育環境への配慮が必要な猫でもあります。
アビシニアンの歴史
アビシニアンは家猫として最も歴史が古い猫で、多くの歴史が残されています。
しかし、発祥については正確には解明されておらず現在ではエジプト、エチオピア、イギリス、インドがアビシニアンの発祥であるという説が挙げられています。
最も有名なのが、紀元前4000年古代エジプトの壁画やお墓にはアビシニアンに似た猫が描かれている事から発祥はエジプトであるという説。
次にアビシニアンの名前にちなんで原産地はエチオピア(現在のアビシニア)であるという説。
ローズモルドベルツ氏の「アビシニアンは1800年代末にイギリスで作られた」という説、この裏付けにはイギリスにはアビシニアンを輸入した記録が残されていない事を理由としています。
しかし現在では近年の遺伝子解析により解明された「アビシニアンの発祥はインドである」という説もかなり有力とされています。
さらにそれを裏付けるものとして、オランダのライデン自然史博物館で1830年に入手されたとされるアビシニアンの剥製には「原産国インド」と記載があるようです。
諸説あり
他にも1968年代のアビシニア戦争後に兵士が連れ帰った猫である説などがありますが、どれも確証があるものではないのが現状です。
アビシニアンが脚光を浴びる様になったのは1896年イギリスで、ショーに初めて登場し、サム・ウディウィス氏によってナショナルキャットクラブに血統書登録されています。
1900年代にはアメリカ人のキャスカート氏によってイギリスからアメリカに渡った「アルミニウム2世」という名前の雄の子猫と、その後に迎えられた「ソルト」がアメリカでは最初のアビシニアンとされています。
第一次世界大戦、第二次世界大戦という二つの戦争の影響を受けてアビシニアンの数は大きく減少する事になるのですが、愛好家たちの情熱によって1950年代には復活し、1980年代終わりにはアメリカで最も人気のある短毛種とも呼ばれるまでになりました。
アビシニアンが飼いにくい理由
アビシニアンが飼いにくい猫とされている理由として、運動量の多さと、飼い主に対する強い甘えたい欲求が強いというのが挙げられます。
まず、猫は基本的に夜型で、夜間にも活発に活動することが多いのですが、アビシニアンのような活動的な猫の場合、高い所から飛び降りたり、走り回ったりした際の物音がかなり響きます。
マンションで飼うとなると、騒音問題が常につきまとい、飼い主を悩ませることが多々あります。
アビシニアンの様な活発な猫を飼う場合は防音対策に加え、十分に動き回れる広い飼育スペースが必要になるでしょう。
また、大変甘えん坊で飼い主との沢山のコミニケーションを好む傾向があるため、お留守番中は寂しさからストレスを感じてしまい、様々な問題行動を起こしがちに。
ストレスを溜めさせない為にもコミニュケーションを取れる時間の確保と、のびのびと運動できる様な広いスペースの確保がアビシニアン飼育には重要なポイントになります。
アビシニアンってどんな性格?
アビシニアンの性格ですが、とにかく甘えん坊で活発です。
他の猫と比べ、コミュニケーションを取りたがる猫としても知られ、飼い主が話しかけたり呼びかければ返事をして応えてくれたりする子も。
類まれなコミュニケーション能力と共に賢い猫としても知られています。
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一方で愛情表現や行動も野生味を残す様な大胆なところがあり飼い主を飽きさせません。
特に好奇心の旺盛さが目立ち、気になった物には自ら駆け寄っていく程に積極的に興味を示します。
興味が湧いた物にはまず匂いを嗅いでみる、さらに恐れず触って確かめたがります。
それに加えて運動量がかなり多めなので、お部屋の中が荒れるのは覚悟したほうが良さそうです。
被毛の色の種類
美しい猫として知られるアビシニアンですが、被毛の色はフォーン、レッド、ルディ、アビシニアンブルーの4種類。
いずれのカラーでも見られるグラデーションは他の猫種にはないアビシニアンならではの特徴であり、「美しい猫」とされている要因でもあります。
フォーン
ピンクベージュのグラデーションが優しく柔らかい印象を与えるのがフォーンカラーです。
フォーンとは「小鹿」の意味で、可愛らしい明るいベージュにお腹と脚先はさらに淡く黄色かかったクリーム色をしています。
レッド
レッドは英語で栗という意味の「ソレル」とも呼ばれています。
体全体に赤毛から栗色の毛に濃淡のあるグラデーションが入ります。
ルディと混同される事もありますが、レッドには黒い毛が入っていないのが一番の違いです。
尻尾の先まで統一感のある被毛に、口元は肉球までもピンク色で可愛らしい雰囲気があります。
ルディ
ルディは数が多く、古くから愛される伝統的な色でアビシニアンの中では最もメジャーな被毛のカラーです。
全体的には赤煉瓦色のアプリコットの被毛に黒から濃い茶色のグラデーションが入ります。
黒の濃淡によって印象が変わり、濃いほど良いとされており、目の周りや口周りはやや淡い白またはクリーム色の毛でより目元の美しさも際立たせています。
また、子猫の時に見られる四脚と尾の先にだけある縞模様(アビシニアンタビー)は残されていない事が条件されている血統書機関が多いようです。
アビシニアンブルー
全体的にはスモーキーなグレーに近い色合いで、毛にブルーの濃淡のグラデーションが入ります。
背中から尾にかけてはグレー色が濃くなり、目の周りにはピンクベージュで表情はより知的に感じられクールな印象を与えます。
お腹、胸、足は黄色味がかったクリーム色で他には無い魅力から人気を集めています。
まとめ
他の猫では見られない魅力を持つアビシニアンですが、国内での飼育頭数は決して多くありません。
ペットショップで販売されていないというのもありますが、騒音問題に敏感で居住スペースが狭い日本の生活環境とは相性が良くないというのも大きな理由でもあります。
とはいえ、海外のヨーロッパ、アフリカ諸国、原産国であるアメリカでは長らく人々と過ごしてきた歴史がありますし、アビシニアンという品種そのものが魅力的であるというのも変わることのない事実とも言えます。
アビシニアンの魅力
・コミュニケーションが取れる
・きれいな顔立ち
・グラデーションがかかった被毛
・被毛の手入れが少なく済む
飼いにくいとされる理由
・甘えん坊で飼い主に依存傾向
・運動量が多い
・集合住宅には向かない
・賢い故、しつけに苦労することも